イタリアごろごろ猫記

Diario di un gatto pigrotto

カテゴリ: イタリアの日々2009

年末が来るたびに、大掃除しなきゃなあ…でも寒いし面倒だなあ…
イースターに大掃除するイタリアの伝統にのっとって春まで待とうかな
と心の中で葛藤の渦がぐるぐる。とりあえず本棚とバスルームだけ集中的に
掃除しました。残りはイースターにやります。
そんなわけで、一瞬たりとも完璧に美しいということがない我が家(汗)。

今年の8月から、読んだ本のタイトルをノートに記すことにしたのです。
先月読んだ本さえ思い出せないのに今さらながらオドロキだったので。
感想も何も書かずタイトルと著者名を記すだけ。でも、それを見返すと
本の内容や読んだときの感情まで蘇ってくるのだから不思議ですねえ。
メモによると8月から読んだ本は計10冊(1冊は日本語、あとはイタリア語)。
2週間に1冊のペースです。少なすぎー。

一昨日読み終えた本が今年最後の本になりました。これがとってもよくて
一気に今年のベスト入りです。

Strane creatureRemarcable Creatures
●イタリア語版 Strane creature Tracy Chevalier
●英語版 Remarkable Creatures

映画化もされた真珠の耳飾りの少女で一躍有名作家となったトレーシー・シェヴァリエの
最新作"Strane creature"(直訳:奇妙な生き物たち)。
1800年代初期、イギリス南部の海岸で化石を集めるふたりの女性をめぐる物語。
ひとりはロンドンから移住してきた上流階級出身のオールドミス、エリザベス。
もうひとりはこの海岸で生まれ育ち、生計を立てるため化石を探しては売る
貧しい少女メアリー。ふたりは年齢と階級の差を超えて友情を育むのですが
メアリーの重大な発見により思いがけない展開に・・・。

この小説の舞台となったのは200年ほど前。当時、女性の立場は男性に比べ
非常に低かったのですね。女が一人前の職業を持ち自立するなんて考えられず
年頃の女が生き延びていくには、とにかく結婚するしかなかった。
できればお金持ちの男と…。20代も半ば過ぎると、周囲から行き遅れと憐みの
目で見られ、本人も恐縮し人生終わったみたいな気持ちで生きるしかない。
そんなとき独身であることの困難に立ち向かい、そこに自由を見出すエリザベス
に親しみを感じ、エールを送りたくなるのでした。彼女は同情など必要ない
でしょうけど。それから化石を集めるメアリー・アニング!存在感たっぷりです!
彼女が古生物学の歴史に残る大変なものを、この海岸で発見したときの描写は
劇的でないのに、その後じわじわと迫ってくる臨場感があります。

シェヴァリエの小説を読むのは今回初めてなのですが、構成の上手さに感服。
さすが長年エディターをやってただけあり、ぐいぐい読ませる技を知ってます。
誇張せず等身大の女たちを描く彼女のまっすぐなまなざし、好きです。
現在、出版されているのは英国とイタリアだけという状況(読者人口の少ない
イタリア
でなぜ?)、残念ながら日本語訳はまだのようです。
翻訳が出たら、ぜひお手に取っていただきたいくらいお勧め。

化石とメアリーにすっかり魅了されて、読後いろいろ検索してみたら
日本人によるメアリー・アニングの世界初の伝記
メアリー・アニングの冒険 恐竜学をひらいた女化石屋(吉川 惣司、 矢島 道子共著)が
あるということ。

メアリー・アニング
メアリー・アニングの肖像(Wikipediaより)


一冊目が長くなってしまったので、以降は4行(だいたい)レビューで。

Abbiamo sempre vissuto nel castelloずっとお城で暮らしてる
●イタリア語版 Abbiamo sempre vissuto nel castello Shirley Jackson
●日本語版 ずっとお城で暮らしてる シャーリィ・ジャクスン

家人からニタニタしながら、これ読んでみたらと渡された薄めの一冊。
こんなお話しを書いてしまうシャーリィ・ジャクスン、化けものです!
あまりにも「ポリティカリー・コレクト」(politically correct)でなさすぎなため
眉をひそめる読者もいるかも。でもその狂気こそがこの本の強さと怖さ。
今年のベストというより、おそらく生涯のベスト本。背筋が凍る傑作。
(追記:感想ちょっと書き変えました)

Lasciami entrareLet the Right One in
●イタリア語版 Lasciami entrare John A. Lindqvist
●英語版 Let the Right One in

キターーー、スウェーデン文学!←意味不明 いや、珍しいという意味で…。
発音ほぼ不可能な作家さん、 ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストと
いうらしいです。一応ホラー小説のジャンルなんですが…。ホラーじゃない
とは言いません、ええ。でももっと別の部分が肝心なんですよ。
イジメられっ子オスカルとエリ(吸血少女!)の優しい勇気あるラブストーリー。
傑作ではないけれど、エリの生き様に考えさせられるものありました。
これも日本語訳なくてすみません。平易な文体なので英語か伊語でいかが?

そして、今年のベスト1は

Espiazione贖罪
●イタリア語版 Espiazione Ian McEwan
●日本語版 贖罪 イアン・マキューアン
内容(「BOOK」データベースより)
1935年夏、13歳の少女ブライオニー・タリスは休暇で帰省してくる兄と
その友人を自作の劇で迎えるべく、奮闘努力を続けていた。
娘の姿を微笑ましく見守る母、一定の距離を取ろうとする姉セシーリア、
使用人の息子で姉の幼なじみのロビー・ターナー、そして両親の破局が
原因でタリス家にやってきた従姉弟 ―15歳のローラ、9歳の双子ジャクスンと
ピエロ―らを巻き込みながら、準備は着々と進んでいるかに見えた。
だが練習のさなか、窓辺からふと外を見やったブライオニーの目に飛び込んで
きたのは、白い裸身を晒す姉と、傍らに立つひとりの男の姿だった…。
いくつかの誤解、取り返しのつかぬ事件、戦争と欺瞞。無垢な少女が
狂わせてしまった生が、現代に至る無情な時間の流れの果てに、切なくも
もどかしい結末を呼ぶ。ブッカー賞最終候補。全米批評家協会賞受賞。

とんでもなくスゴイ作品でした。あらすじだけ読むと、一見ありがちっぽい
ストーリーに思えるかもしれません。
ところが。
話の筋がどうであれ、それを肉付けるもの、詳細、描写の仕方、構成、
そして何よりも作家の視線が、ひとつの小説を大きく支配することの
証明でした。マキューアンが小説家としての力量をあますことなく
見せてくれる実に偉大な作品。最初の1ページから意外な"どんでん返し"
のある最後まで、素晴らしい筆力に圧倒され続けました。
少女の心のひだをこれほどまでに書き込める男性作家は、どんな卓越した
想像力を持っているのでしょう?
『贖罪』はまた、小説の持つ力についての小説でもあるのです。
この小説を読んで、ブライオニーとともに悩み、深く傷つき涙した読者も
また作家の手によって小説の一部に取り込まれた、と言えないだろうかと
ふと思いました。

振り返れば、昨年のベスト1『私を離さないで』(カズオ・イシグロ著)も
イギリス文学でした。奇遇なのか、私の好みが偏っているのか。


さて、今年も我がブログにお立ち寄りくださり本当にありがとうございました。
コメントを書いてくださった方、ランキングボタンを押してくださった方、
足音は残さないけど覗いてるよという方、みなさまに心より感謝です(*^_^*)。
温かくして、よいお年をお迎えくださいませ。
新年のご挨拶まで、勝手ながらコメント欄はクローズさせていただきます。

最後に、夢を追い続けるスーザン・ボイルさんの歌声で2009年を〆。
化石を探すメアリー・アニングの姿になんとなくかぶるのでした。

歌は心【完全版】/スーザン・ボイル(日本語字幕つき)(YouTube)


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さっきTVで流れたCMがあまりにも衝撃的だったので
ぜひ見ていただきたく、YouTubeで探してきました。


アリタリア航空CM (出演ラウル・ボーヴァ)
Spot Alitalia con Raoul Bova

衝撃的という言葉はしっくりこないなあ。
あ、あのー、あなたたち、客を完璧になめてるでしょ
と画面に向かってつぶやきたくなるような。
あまりの鉄面皮に唖然…。
ていうか最初ジョークだと思いましたから。ホント。

実際のアリタリア航空の「サービス」ぶりは、"アリタリア 評価"の
キーワードでググるといっぱい出てくるのですが、特にこちら
(利用してよかった航空会社は? - 口コミ評判比較ランキング アリタリア航空)など
ご参考になるとわかりやすいかと思います。
アリタリアから日本行きチケットが全て込み5万円なんて超破格で発売されても
アリタリアだけは絶対避けるとか、自分にとってアリタリアという航空会社は
存在しない、と断言される経験者さん多いのです。
親しい友人からも「うそでしょー?!」みたいなとんでもないエピソードを
さんざん聞かされてます(苦笑)。
かく言う私は、これまで一回だけ、しかもウィーン - ミラノという
短距離でしか利用したことないのですが、そのときも男性CAの態度は
ものすごく投げやりでよい印象はなかったです…。

こんなアリタリアですが、一昔前は超一流のエアラインとして世界中の
憧れの的だったというのですから、人生何が起きるかわかりません。


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このところ寒い画像の連続で失礼します。コメントがないのもそのせいかしらん(苦笑)。
21日22日は冬至でしたね。柚子湯には入られましたか?
いま北イタリアは大寒波に襲われています。昼間も氷点下のままです(・_・;)。

2009年12月21日の予報
12月21日のロンバルディア州の気温。画像はAnsa meteoから。

冬至の日の庭

写真は午前中に庭で撮ったもの。ご覧の通り雪はそれほど積もってないのですよ。
が、とにかく寒い。吐く息がすぐさま凍ってパリバリ砕ける寒さ!!
まさにフリーザーの中にいる感じです。
最低気温はマイナス10度かそれ以下を記録。これはうちの周辺の話で
地方によっては氷点下22度とか、ちょっと想像できないようなところも。
電車や飛行機のダイヤは乱れ、ちょうどクリスマス休暇に入ったところで
故郷に帰省する人や、ミラノの空港から南の島に旅立とうとしてた
ヴァカンス客などは遅延や欠航で大変な目にあってるようです。

ザクロと雪景色

この程度の雪で大騒ぎするなんてと本当に寒い地方に住んでいる方々には
(皇帝ペンギンにも)笑われそうですけどね。
20年ほど前の冬、アエロフロート航空で日本からイタリアに向かった時のこと。
横殴りの雪が降ってたにもかかわらず、私の乗る飛行機は乗り継ぎのモスクワの
空港に軽々と着地、翌朝出発する時間には滑走路の雪はきれいに片付けられて
いました。雪に慣れている人たちなのだなあとびっくりしたものです。

ビワの木にたたずむニワトリ

こちらは前回の記事に登場したニワトリさん。
写真が暗くてほとんど見えないかもしれませんが、葉と葉の間に2羽隠れてます。
彼らは寒さに強いと書いたものの、さすがにここ数日はご機嫌斜め。

隣家の犬ビリーとブラック

柿の木の後ろにちらっと見えるのが隣家の犬たち。
シェパード犬がブラック、小さい方はビリーという名前です。
風邪ひかないでね。酷寒に負けず頑張るんだよーーー。
というわけで、私にとっては多分こちらに住んで一番のハンパじゃない寒さ
なのですが、家人の世代のイタリア人の記憶に残る冬と言えば
ものすごい大雪となった1985年だそうです。
[参考]
Nevicata del 1985(Wikipedia/イタリア語)


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昨日の雪1

昨日の朝、外はこんなことになってました。初雪です。
寝ている間、静かに降ったらしく、ちっとも気がつきませんでした。
全く予想されてなかった降雪にちょっと驚き…。

昨日の雪2

午前中いっぱい、粉雪はちらつきましたが
雪だるまができるほども積もりませんでした。
こんな調子で、イタリア各地では雪か冷たい雨が降ってます。
来週の月曜日まで、ぐんぐん寒くなるだろうという予報(^^ゞ。
この冬はわりと暖かかったのだけど、シベリアからの寒波が
とうとう訪れたようです。ぶるっ


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昨日いつものようにネットに接続しようとすると、新しく契約したプロバイダから
メッセージが届いてました。
移行手続きを終了するためサイトに登録してください、と言われるまま必要事項を入力。
「これで移行は完了しました。いったん接続を切り、数分後に繋いでください」
数分後、何の問題もなくネット接続成功。
解約したプロバイダからは1ヶ月ネット不通になると脅しの電話があったんですけどね。
やっぱり、ハッタリだったのねーーー。ネット不通期間、実質ゼロ!


さて今年も残すところあと数週間ですね。2010年はどんな年になるでしょう。
来年からなんと10年もの運勢を予言してくれるサイトを見つけました。
気分転換にいかがですか。

10年メーカー

私の結果はこれ。
10年メーカー

2017年なんかに恋愛運アップしても、もうそんなお年頃じゃないんですけど(笑)。


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